カポエイラにとって、音楽は必要不可欠な要素である。
これは、ホーダのテンポやゲームのスタイルが、そこで演奏される音楽によって選択されるから。
例えばカポエイラの音楽は、楽器や歌で構成され、比較的遅いテンポの「アンゴラ」から、非常に速い「サンベント グランジ ジ アンゴラ」などまで大きく異なるが、ジョゴもそれらに合わせて速さを合わせる必要があるため。
カポエイラにおける音楽の意味
カポエイリスタは、ビリンバウのトーキ (リズムの種類)に合わせて、ジョゴのスタイルを変える。この事は、文字通り音楽がホーダをコントロールし、カポエイリスタを動かしていることになる。
ゆえに、動きだけではカポエイラは成立しない。音楽が揃ってこそ、カポエイラはカポエイラであると言える。
カポエイラの歌
歌の形式
音楽に合わせて歌われるカポエイラ曲の多くは、コール (ソロ)およびレスポンス (コーラス)の形式がとられている。
歌の内容
歌の内容としては多岐にわたっており、歴史や過去の有名なカポエイリスタの話、奴隷制の時代を描写したもの、望郷の念を歌ったものなどがある。
また、他の曲の例では、カポエイリスタに素晴らしいジョゴを要求したり、ホーダ内で起こっている内容を即興で歌いあげる事もある。
また、カポエイリスタの人生や恋人などの事が、陽気で遊び心のある歌詞で歌われる。
歌の種類
カポエイラの曲には、3つの基本的な種類がある。
Ladainha(ラダイーニャ)
Ladainha(ラダイーニャ)は、メストレやそのホーダのリーダーなどのソロによって、ホーダの冒頭に歌われる場合が多い。
これらのラダイーニャの有名な曲の多くは、過去のメストレによって書かれたものや、その場で即興で作られたものを歌う事もある。
Chula (シューラ)
ラダイーニャの次は、通常Chula (シューラ)と呼ばれる歌が、掛け合い形式で歌われる。
シューラの内容は、即興の場合もあるが、多くはある程度決められたフレーズがあり、神に対する感謝やカポエイラ メストレの礼讃等をソロが歌い、コーラスが同じフレーズに「カマラー」を付けて応答するというパターンを繰り返す。
また、コンテンポラーニャのホーダでは、しばしばラダイーニャとシューラは省略される事がある。
Corridos (コヒード)
3番目の種類として、Corridos (コヒード)がある。
これは、カポエイラのゲーム内の大部分の時間で歌われており、こちらもソロとコーラスによる掛け合いの形式である。
歌によっては、ソロと同じフレーズを繰り返す場合もあるが、全く違うフレーズを返したり、復唱のように歌う場合もあり、まちまちである。
バテリア(オーケストラ)
楽器の演奏をするオーケストラをカポエイラではbateria (バテリア)と呼び、バッテリーのようにカポエイラにエネルギーを与える存在が語源である。
バテリアのビリンバウと呼ばれる弓状の楽器のリズムをベースとして、テンポやリズムの種類が変えられる。
バテリアの他の楽器としてpandeiros(パンデーロ)、Recoreco (ヘコヘコ)、Agogo(アゴゴ)、Atabaque(アタバキ)があるが、グループにより使用する楽器は異なり、必ずしも全てが必要という訳ではない。