まあ、服を汚さないため、と言われてますよね。
そんな事知っています。
ブラジルでは、黒人たちは何かのイベントの時には、大事な上下白い服でビシッと決めてお出掛けします。
それは、カポエイラのホーダでも同じで、かしこまったホーダであればあるほど、ちゃんとした服装でジョゴをします。
カポエイラは一時期、どうしようもない連中がやるモノだと認識されていた頃があったので、それを払拭するためにも特にキチンとした身なりでジョゴをした事もあったそうです。
たまに、単に上下白どころか、白いジャケットに白い帽子、白い革靴を履いてカポエイラする人も居ますね。
メストレ・ブラジリアは、独りでカッコつけてる訳ではないのです。
そんなカポエイリスタが、ジョゴはエレガントでなければならないと言うのは、説得力があります。
ちなみに、なぜ白かと言うと、いろいろ意味はありますが、何よりその黒い肌を最も美しく見せる色だからなんですね。
さあ、そんな訳で、膝をつかないのは(蹴りを当てたり、手のひらで触ったりしないのも) 綺麗な服を汚さないため、と、頭では理解はしていました。
が、実は、分かっていなかったんですね。
それは、何度かバイーアの不便な田舎に行った時、気付きました。
そこで、綺麗な水を手に入れる事がいかに大変かを体験したのです。
蛇口をひねっても出てくるのは、色がついた水ばかり。
白い服を洗ったら、違う色になりそうです。
別の場所では断水していて、貯めておいた雨水だけが頼りでした。
今でこそ、サルバドールの町中では、蛇口をひねればいくらでも綺麗な水が出てきますが、カポエイラの悪いイメージを払拭しようと綺麗な格好をしていた昔では、その水を手に入れる事がどんなに大変だったか想像がつきません。
真っ白の一張羅の洗濯なんて、日本で暮らす我々には造作もない事ですが、バイーアの貧しい黒人たちには、とても大変な事だったのでしょう。
そもそも、カポエイラをやる場所はストリートが多かったと思いますが、日本の綺麗な道路や駅前なんかと違って、あちらはでこぼこですし、相当汚れています。
カポエイラでよく唄われる歌の一節で、ie agua de beber (イェ〜、飲み水よ~♪) ってものがありますが、それもようやく理解できたような気がしました。
そんなカポエイラの歴史や、黒人やブラジルの文化を考えたのならば、とても膝なんてついていられないです。
Respeito (=リスペクト)が大切ですね。