格闘技は、例えば体重などで条件を揃え、その中で優劣を目指すという意味では公平なんだよね。
そういった場合は、純粋に正面からぶつかり合えば良いと思う。
でも、始めから圧倒的な戦力差、例えば相手は武器の使用OK、こちらは素手どころか下手したら手枷を付けられた状態で闘わないといけないとしたら?
そりゃ、正面から突っ込むなんて無謀な戦術はあり得ないわけですよ。
カポエイラの成り立ちが、そのような不利な条件を前提としたものだったら、正々堂々と真っ向勝負を挑む考えの方が不自然に感じるのです。
そこで、見た目の部分では、遊びの要素を入れたり踊りの要素を入れたりなど、闘い以外の面で付加価値を見出して発展していったのだと思う。
また、同時に考え方の部分でも、「相手を力で打ち負かした方が勝ち!」という明確なゴールではなく、その場を計算高く立ち回るという、負けているのか勝っているのか一見、分からないような落とし所になっている点もごく自然に思う。
話を戻すと、要するにカポエイラは格闘技のようであって純粋な格闘技ではない。
少なくとも、一般に我々が思い描くような拳と拳のぶつかり合いのような格闘技とは大きく違う。
だから、正面からガシガシ突っ込んでいくようなカポエイラには、違和感を覚えるわけです。
不利な条件を前提としているからこそ力が全てなのではなく、楽しんでなんぼ、遊んでなんぼの、体を使ったコミュニケーションの一つなのです。